トイレに手すりを付けるならどこ?位置・高さ・種類を解説

結論|トイレの手すりは「立ち座りの動き」に合わせ、便器の横に設けるのが基本です
トイレの手すりは、立ち上がるとき・座るときに体を支えられる位置へ設置することが大切です。一般的には便器の横に横手すりを設け、必要に応じて縦手すりを組み合わせます。
ただし、使いやすい高さや位置は、身長、筋力、利き手、歩行状態、介助の有無によって異なります。数値だけで決めるのではなく、実際に立ち座りをする動作を確認してから決めることが重要です。
この記事では、トイレの手すりを設置する位置・高さの目安、種類、失敗しないための確認ポイントを解説します。
トイレに手すりを付ける目的は「立ち座り」と「姿勢の安定」です
トイレでは、座る・立つ・向きを変えるといった動作が短時間に繰り返されます。足腰の筋力が低下してくると、立ち上がるときにふらついたり、便座へゆっくり腰を下ろしにくくなったりすることがあります。
手すりを設けることで、腕の力も使って体を支えられるため、立ち座りの負担や転倒の不安を軽減しやすくなります。
立ち上がるときの支えになる
便座から立ち上がる動作では、体を前へ傾けながら脚に力を入れます。横手すりを握れる位置に設けると、腕でも体を支えられ、立ち上がりやすくなります。
座るときのふらつきを抑えやすい
座るときは、後ろを確認しながらゆっくり腰を下ろす必要があります。手すりがあると、姿勢を安定させながら便座へ座りやすくなります。
移動や方向転換の補助になる
車いすや歩行器から便座へ移る場合、手すりは体を支えるだけでなく、移乗時のつかまりどころにもなります。この場合は、利用する方の動線や介助する方の位置まで考えて設計することが必要です。
手すりの種類は「横手すり」「縦手すり」「L字型」の3つが基本です
トイレ用の手すりにはさまざまな形がありますが、基本となるのは横手すり・縦手すり・L字型手すりです。それぞれ得意な動作が異なるため、必要な場面に合わせて選びましょう。
横手すりは、立ち座りを支えたい場合に向いています
横手すりは、便器の横に水平に設置するタイプです。座る・立つ動作で握りやすく、トイレ手すりの基本となる形です。
床から手すりの上端までの高さは、一般的に700〜800mm程度を目安に検討されます。ただし、これはあくまで目安です。利用する方が便座に座った状態や、立ち上がる動作を確認して、握りやすい高さに調整しましょう。
縦手すりは、立ち上がる前後の姿勢を支えやすい形です
縦手すりは、便器の前方や側方の壁に縦向きに設置するタイプです。立ち上がるときに下から上へ手を移動させやすく、姿勢を安定させる補助になります。
横手すりだけでは握りにくい方や、立ち上がる際に体を前方へ引き寄せたい方に向いています。
L字型手すりは、複数の動作を支えたい場合に便利です
L字型手すりは、横手すりと縦手すりを組み合わせた形です。座る・立つ・姿勢を保つといった複数の動作を支えやすいため、足腰の負担が大きい場合や、将来を見据えて手すりを設置したい場合に検討しやすいタイプです。
ただし、L字型は壁面のスペースを使います。トイレの広さや、ペーパーホルダー・収納・ドアとの位置関係を確認してから選びましょう。
手すりを付ける位置は、便器の横と利き手を基準に決めます
手すりの位置は、便器の横に設けるのが基本です。ただし、左右どちらの壁に付けるかは、利き手だけで決めるものではありません。
普段どちらの手でつかまると立ち上がりやすいか、トイレへ入る向き、歩行器や車いすの位置などを確認して決めましょう。
立ち座りで使いやすい側に設置する
右手で握る方が立ちやすい場合は右側、左手の方が安定する場合は左側に設置するのが基本です。
ただし、片側の手や腕に痛み・麻痺・力の入りにくさがある場合は、使いやすい側を優先します。ご本人が実際にトイレを使う動作を確認することが大切です。
片側だけで不安な場合は、両側設置も検討する
体を支える力が弱い場合や、介助が必要な場合には、便器の両側に手すりを設置する方法もあります。
一方で、両側に固定式の手すりを設けると、移乗や介助の妨げになることがあります。必要に応じて跳ね上げ式の手すりを選ぶなど、使い方に合った方法を検討しましょう。
ペーパーホルダー・リモコンとの位置も確認する
手すりを付ける壁には、ペーパーホルダーや温水洗浄便座のリモコンが設置されている場合があります。手すりを握ったときに操作の邪魔にならないか、ペーパーを交換しにくくならないかも確認が必要です。
手すりの高さは「使う人に合わせる」ことが最も重要です
手すりの高さには目安がありますが、最適な位置は一人ひとり異なります。身長だけでなく、便座の高さ、姿勢、手を伸ばす範囲、握力まで影響するためです。
横手すりは、座ったときに肘が自然に曲がる高さを目安にします
横手すりは、便座に座った状態で無理なく握れ、立ち上がるときに腕へ力をかけやすい高さが理想です。
一般的には床から700〜800mm程度が目安とされますが、便座の高さや利用する方の体格によって調整が必要です。高すぎると体を支えにくく、低すぎると腰を深くかがめる必要が出てしまいます。
縦手すりは、立ち上がる動きに合わせて長さを決めます
縦手すりは、座った状態から立ち上がるまで手を移動させながら使うことがあります。そのため、握る位置が一箇所だけにならないよう、十分な長さを確保して設置することがポイントです。
設置前には、壁に仮の位置を示し、実際に手を伸ばして使いやすさを確認すると安心です。
便座の高さを変える場合は、手すりも一緒に見直します
便器交換で便座の高さが変わると、今まで使っていた手すりが低すぎたり高すぎたりする場合があります。便器を交換する予定がある場合は、先に新しい便座の高さを確認し、手すりの位置を決めましょう。
便器の種類や選び方は、タンクレス・一体型・組み合わせ型トイレはどれがいい?違い・メリット・デメリットを比較も参考にしてください。
固定式・跳ね上げ式・置き型の違いを確認しましょう
手すりは壁に固定するタイプだけではありません。トイレの広さや、壁の状態、介助の有無によって適した方法が異なります。
壁固定式は、安定感を重視する方に向いています
壁固定式は、壁の下地にしっかり固定するタイプです。ぐらつきにくく、毎日使う手すりとして取り入れやすい方法です。
ただし、石こうボードの壁にそのまま取り付けると十分な強度を確保できません。手すりを設置する位置に下地があるかを確認し、必要に応じて補強工事を行います。
跳ね上げ式は、介助や移乗のスペースを確保しやすい手すりです
跳ね上げ式は、使わないときに上へ跳ね上げられるタイプです。車いすから便座へ移る場合や、介助する方が横に立つ場合に、スペースを確保しやすい点が特徴です。
一方で、壁や床への固定方法、設置スペース、必要な強度を事前に確認する必要があります。
置き型は、工事前の試用にも使いやすい方法です
便器の横に置く据え置き型の手すりは、壁に下地がない場合や、すぐに対策したい場合に検討できる選択肢です。
ただし、使用状況によってはずれやぐらつきが生じることもあるため、安定性を確認することが大切です。長期的に毎日使う場合は、固定式を含めて検討すると安心です。
手すりを設置する前に、トイレの広さとドアの開き方を確認しましょう
手すりを付けても、通路が狭くなったり、ドアが開けにくくなったりすると、使いやすさが損なわれることがあります。
便器横のスペースを確認する
手すりを設置するためには、便器の横に一定のスペースが必要です。狭いトイレでは、収納・手洗い器・ペーパーホルダーとの干渉にも注意しましょう。
便器サイズと必要な空間の考え方は、「トイレの広さはどれくらい必要?便器サイズと必要スペースを解説」で詳しく紹介しています。
開き戸が手すりや介助の妨げにならないか確認する
トイレのドアが内開きの場合、手すりの位置や利用者の体勢によっては、出入りしにくくなることがあります。将来の介助や車いす利用も考える場合は、引き戸への変更を検討することもあります。
ドアの選び方については、「介護しやすいトイレのドアは?開き戸・引き戸の違いを比較」をあわせてご覧ください。
収納計画も同時に見直す
手すりを設置する壁に収納を設けると、手すりを握りにくくなったり、収納扉が開けにくくなったりすることがあります。
収納を増やしたい場合は、便器後ろや上部の壁面を活用し、手すりを使う範囲を空けておくことが大切です。
手すり設置で失敗しないためのチェックポイント
手すりは、設置しただけでは安全対策になりません。使う人に合う位置と、十分な強度を確保することが重要です。
利用する方が実際に使う動作を確認したか
利き手や体の状態に合う側へ設置しているか
便座の高さに合った位置になっているか
壁の下地や補強の必要性を確認したか
ペーパーホルダー・リモコン・収納と干渉しないか
ドアの開閉や通路の妨げにならないか
介助や車いすからの移乗が必要になる可能性を考慮したか
特に、手すりは体重をかける設備です。デザインや取り付けやすさだけで判断せず、施工前に壁の状態と固定方法を確認しましょう。
手すり設置は、段差・ドア・暖房対策と一緒に考えると安心です
手すりは立ち座りを助ける設備ですが、トイレを安全に使うためには、足元の段差、寒さ、ドアの開閉のしやすさも関わります。
床に段差がある場合は、「トイレの段差をなくすには?バリアフリーリフォームの方法を解説(準備中)」を参考に、つまずきにくい環境を整えましょう。
また、冬場のトイレが寒いと、体がこわばって動きにくくなることがあります。「冬のトイレが寒い!リフォームでできる断熱・暖房対策を解説(準備中)」もあわせて確認すると、より安心して使える空間を考えられます。
まとめ|トイレの手すりは、位置・高さ・強度を利用する方に合わせて決めましょう
トイレの手すりは、便器の横に横手すりを設けるのが基本ですが、最適な位置や高さは利用する方によって異なります。
立ち座りの動き、利き手、便座の高さ、トイレの広さ、将来の介助まで考え、横手すり・縦手すり・L字型手すりを組み合わせることが大切です。
壁の下地やドア・収納との干渉も確認し、実際に使う方の動作に合わせて計画しましょう。
トイレ全体のバリアフリー対策は、「高齢者も安心できるトイレへ|バリアフリー・手すり・寒さ対策を徹底解説」で紹介しています。




